:
:『貴方との最期の魔法』
:
シオン:シオン・アーベル。過去に魔力が暴走して村を一つ破壊してしまった
リュカリス:リュカリス・フォーデンス。魔法研究者で、シオンを引き取ることになる
:
:
─とある場所にて、二人が出会う
リュカリス:「やぁ、はじめまして」
シオン:「…あんた、誰?」
リュカリス:「口の利き方がなってない餓鬼だ。面白い。」
シオン:この日、この人に出会って、人生が変わっていった。
リュカリス:私は、この子に出会って、力になりたいと思った。
:
:
:
シオン:俺は強力な魔力を持っている〝天才〟魔法使い見習いで、見習いの中でも優秀だった。基礎魔法は1回見れば使えたし、見習いだと魔力量が足りないとされてる応用魔法も余裕で出来た。
…でも、ある日俺の魔力が暴走した。強力だった魔力が仇となったのだ。…俺は、〝天才〟から〝悪魔〟へと成り下がった。
俺の名前は……
リュカリス:「シオン・アーベル…ねぇ。もちろん知ってるとも。子供ながら天才的な魔法使いだって…。
あー、魔法使い見習いね。失礼失礼。…ったく、見習いに対して厳しすぎないか、魔法協会は。……ふーん、あぁ、その子が魔力暴走してしまった例の子か。
それよりも、その言い方はやめたまえ。暴走は故意ではないことをわかってるだろう」
シオン:知らない声が聞こえる…。
リュカリス:「それで?用件はなんだ?」
シオン:声の主が俺の目の前に現れた。そいつはどうやら誰かと通信で話しているようだった
リュカリス:「ほお…、なるほどな。そちら側の事情は大体わかった。つまり、この私に、そのシオン・アーベルを任せたいということだな?」
シオン:「……」
リュカリス:「やはりそうか…わかった。だが、少し待っててくれ」
シオン:檻の向こう側に立つその声の主は、しゃがんで目線を俺に合わせた。
リュカリス:「やぁ、はじめまして」
シオン:「…あんた、誰?」
リュカリス:「口の利き方がなってない餓鬼だ。面白い。…私の名前はリュカリス・フォーデンス。お前さんの名前は?」
シオン:「知ってんだろ」
リュカリス:「ん?」
シオン:「ん?じゃねぇよ。さっき俺の名前言ってただろ」
リュカリス:「それは、他の奴から聞いた名だ。お前さんの口から聞きたい」
シオン:「変なやつ…」
リュカリス:「ほぅ、お前さんは変なやつというのか?」
シオン:「違うに決まってんだろ!」
リュカリス:「だろうな。それで、名前は?」
シオン:「…シオン・アーベル」
リュカリス:「あぁ、よろしく、シオン。名前を教えてくれてありがとう」
シオン:なんなんだこいつ。それがこの人の第一印象だった
リュカリス:「なぁ、シオン。私とともに来るか?」
シオン:「は?」
リュカリス:「この檻から出ないか?」
シオン:「あんた何言ってんの?」
リュカリス:「お前さんがここで過ごす必要はない」
シオン:「俺は力が暴走していろんなものを壊したからここにいるんだ。これ以上被害を出さないためにここにいる」
リュカリス:「ふむ」
シオン:「…それに、この檻がなかったら、今頃あんたのことだって傷つけてたかもしれない」
リュカリス:「それはない。大丈夫だ」
シオン:「なにが…何が大丈夫なんだよ…!俺はこの力をコントロールできないからここにいるんだ!この檻があるから誰も傷つけずにすんでる!」
リュカリス:「…それで?見たところ、魔力が暴走してる様子は見られないが?」
シオン:「っ!みろ!俺の身体には魔力を制御するための鎖がついてる!!これを外したらまた暴走するぞ!」
リュカリス:「よし、わかった。」
シオン:「わかったなら、早くどっか行けよ」
リュカリス:「遮るように)お前さんにコントロールの方法を教えてやろう。その制御の鎖がなくても、自由に暮らせるようになる」
シオン:「はぁ!?俺は!街を壊したんだぞ!」
リュカリス:「故意じゃないだろう」
シオン:「俺は!!…俺は!」
リュカリス:「…なんだ」
シオン:「俺は…外が怖い…。怖いんだよ…。また、力が暴走して、人を傷つけて、いろんなものを壊して…誰かの何かを奪ってしまうそんな恐怖と、周囲からの軽蔑の眼はもう耐えられない…。」
リュカリス:「そんなに人を傷つけたり、何かを壊すのが怖いか?」
シオン:「っ!当たり前だ!怖いに決まってんだろ!!」
リュカリス:「…すまない。言い方が悪かった。」
シオン:「…っ」
リュカリス:「なぁ、シオン。このまま一生この檻に入って、鎖につながれて生き続けるのも選択肢の一つだ。その選択肢を選び続けることを私は否定しない。」
シオン:「なら放っておいてくれよ」
リュカリス:「…だが、私の推測だが、君は誰かを傷つけたくないんだろう?人のために何かをしたいんだろう?」
シオン:「誰も傷つけないためにここから出ない」
リュカリス:「選択肢は他にもある。誰も傷つけないために、誰かを守るためにコントロールを身に着けていけばいいんだ」
シオン:「…俺に、できない」
リュカリス:「なぜできないと思う?」
シオン:「無理だ!」
リュカリス:「無理ではない。お前さんならできる」
シオン:「なんでそんな自信満々に言えるんだよ!俺は一度暴走してんだ!無理に決まって…」
リュカリス:「シオン、思い込みや決めつけは思考を鈍らせる。」
シオン:「…なら、どうやって」
リュカリス:「さっきも言っただろう。私がコントロールの方法を教えてやる」
シオン:「暴走したらどうすんだよ」
リュカリス:「安心しろ。私が、そうならないための歯止め役だ。」
シオン:「…あんた強いの?」
リュカリス:「あぁ、お前さんよりは、確実にな」
シオン:「…」
リュカリス:「シオン、改めて聞こう。私の手を取り、共に来い」
シオン:「あぁ、あんたと…リュカリス、さんと一緒に行く。正直、怖い気持ちが強いけど、この檻から出たい。自由になって、誰かのために何かをしたい」
リュカリス:「よし。いい眼をしている。」
シオン:気持ちを正直に伝えると、リュカリスという人は満足げに俺の頭を撫でた。
リュカリス:「…ということだ。シオンの全権限、すべて私によこせ。…は?うるさい、とにかく全権限だ。いいから手続きをしろ。お前にかかってるぞ、任せたからな!」
シオン:リュカリスは通信を切ると、つながれてたすべての鎖を解いてくれた。
リュカリス:「シオン、行こう。」
:
:
シオン:俺は、数年前に暴走して、自分の住んでた街・リオンドを破壊した。中々、魔力の暴走が止まらなかったため、あの檻の中で制御の鎖につながれて過ごしていた。
そして今日。リュカリスの手を取り、自由の身になった俺は、森の奥にあるリュカリスの家で一緒に住むことになった。
─リュカリスの家
リュカリス:「ようこそ、わが家へ」
シオン:「あんたの家、こんな森の奥深くにあるんだ…」
リュカリス:「そうだ。街ではあんまり魔法の実験とかできないからね」
シオン:「何者なの?」
リュカリス:「んー、そうだな。魔法の研究者というのが一番近いだろう」
シオン:「魔法の研究者…」
リュカリス:「そう。正直言って魔法に関する知識は負けないし、技術もそこそこあると自負しているよ。」
シオン:「…だから、俺の面倒みてくれるの?」
リュカリス:「なんとなく、だよ」
シオン:「ふーん」
リュカリス:「さて、シオン。」
シオン:「……っ」
リュカリス:「今日はゆっくり休みなさい」
シオン:「へ?」
リュカリス:「ほれ、そこのハンモック使って良いぞ」
シオン:「え、魔力のコントロールの練習やらないのかよ」
リュカリス:「いいからいいから。私はこっちで寝るからな。おやすみ」
シオン:「ちょっ、何言って…」
リュカリス:「すーぴー」
シオン:「嘘だろ。一瞬で寝た…」
─シオン、リュカリスの寝息を少し聞いてから
シオン:「はぁ…ついてきて本当に大丈夫だったのかな…」
リュカリス:「いいから、全力で休みなさい。」
シオン:「うわっ、起きてたのかよ」
リュカリス:「少しずつでいい。この家に慣れるといいよ」
シオン:「はい…」
リュカリス:「じゃあ、おやすみ」
シオン:「おやすみなさい」
シオン:この人が言うんだからそうした方がいいんだと思った。
:
翌日―
リュカリス:「オン…シオン、起きたまえ」
シオン:「…ん…ここ…」
リュカリス:「おはよう」
シオン:「あ…おはよう、ございます」
リュカリス:「昨日のことは覚えてるか?」
シオン:「あぁ…覚えてる…」
リュカリス:「ならよかった。顔を洗っておいで。ごはんはできているよ」
シオン:「あ、はい…。えっ、ごはん?」
リュカリス:「当たり前だろう。腹が減ってはなんとやらだ。いいから、顔洗ってきなさい。それから一緒にご飯を食べよう」
シオン:「えっ…」
リュカリス:「待ってるから、ゆっくり準備しておいで」
シオン:「はい」
─食堂、テーブルにて
リュカリス:「よかった、ちゃんと来たね」
シオン:「朝ごはん…」
リュカリス:「あまり料理は得意ではないのでね、味は保証せんよ。まぁ、食べれないこともないさ」
シオン:「…いただきます」
リュカリス:「どうぞ召し上がれ」
シオン:「…ん…うま…うまい」
リュカリス:「おーおー、そんなにがっつくな。」
シオン:「リュカリスさん…」
リュカリス:「なんだい?」
シオン:「おいしい…です」
リュカリス:「そうか、それはよかった」
シオン:久しぶりに誰かと食べる食事はなんだか特別で、すごく美味しく感じた。
シオン:「リュカリスさん、ご馳走様。すごくおいしかった…です。…その、ありがとうございました。」
リュカリス:「喜んでもらえたならよかった。さて、そろそろ魔法の訓練を行おうか」
シオン:「…あ、うん」
リュカリス:「緊張しなくて良い」
シオン:「でも…」
リュカリス:「私のもてるすべてをもって、お前さんにコントロールの方法や魔法を教えてやろう。覚悟しとけ、シオン」
シオン:「っ…はい!!」
リュカリス:「そうだな…。魔法を実際に使う前に、まずは魔力が暴走した原因を知る必要があるな」
シオン:「暴走した、原因…」
リュカリス:「わかるか?」
シオン:「……ごめんなさい」
リュカリス:「わからないことは悪いことではないよ。大丈夫だ。
リュカリス:なら、シオン。まずはお前さんのことを教えてくれないか?」
シオン:「そういうのって上からいろいろ聞いてるんじゃないのかよ」
リュカリス:「もちろん聞いてはいるが、これが正しいとは限らないだろう」
─リュカリスは、そういってシオンの情報が書かれた国の文書を雑に投げた
シオン:「国の文書だろ!正しいに決まってんじゃん!」
リュカリス:「国の文書だから正しい…か。」
シオン:「あぁ。俺、何もおかしいこと言ってないだろ」
リュカリス:「シオン。何事においても、思い込みと決めつけは思考を鈍らせる。だからこそ、いろんな情報を集めて総合的に判断するんだ。それに、国の文書だからと言って100%あっているわけではないんだよ」
シオン:「…わかった。」
リュカリス:「よし、じゃあシオンのことについて聞かせてくれ。そうだな、生まれと家族は?」
シオン:「俺は、その…生まれも育ちも……っ、…」
リュカリス:「ゆっくりでいい」
シオン:「うん。(深呼吸)…生まれも育ちも…リオンドで、家族は父さん、母さん、姉さんの4人家族」
リュカリス:「ご家族に魔法使いはいたかい?」
シオン:「一応、全員魔法使いだった。けど、強い魔力持ってたのは家族の中で俺だけだった」
リュカリス:「ふむ。ご家族との仲はどうだった」
シオン:「……昔は、よかった。」
リュカリス:「そうか。ありがとう。あとは…そうだな。学校はどうだった?全員魔法使いの学校か?」
シオン:「いや、魔法使いも、そうじゃない奴もたくさんいたよ。強い魔力をもってる奴は確か先輩にいたけど…その人は金持ちで専属の魔力調整師が傍にいた」
リュカリス:「なるほど。教員の中にコントロールの方法を教えてくれる者はいなかったのか?」
シオン:「いなかった…。」
リュカリス:「わかった。シオン、ありがとう」
シオン:「なにがわかったんだよ」
リュカリス:「とりあえず、あれだ。やはり、魔力の暴走に関してはシオンだけのせいじゃない。」
シオン:「えっ」
リュカリス:「まず、魔力は基本的に暴走はしない。」
シオン:「それってどういう…」
リュカリス:「でも、それは一般的な魔力量の者だけで、シオンのように強力な魔力を持つものは定期的に魔力を排出してやらないと暴走してしまうんだ」
シオン:「じゃあ、俺はずっと魔力を体の中にため続けてて、それが暴走したってこと?」
リュカリス:「そういうことだ。」
シオン:「どうやったら、暴走しなくなる!?俺、もう…何も壊したくない」
リュカリス:「魔力をコントロールできるようになればいい」
シオン:「…俺、できるようになるかな」
リュカリス:「あぁ。お前さんはコントロールできる人間だよ。
リュカリス:よし、原因もわかったことだし、魔法を使ってみるとしよう」
シオン:「っ…」
リュカリス:「…怖いか?」
シオン:「あぁ。怖いよ。また、あの日みたいになるんじゃないかって…。…暴走した俺を見たら、あんたまで俺を軽蔑するかもしれない」
リュカリス:「シオンは今から魔法を使えるし、私はそんなことじゃ軽蔑しない。見くびるなよ、クソガキ」
シオン:「っ…すみません。」
リュカリス:「謝らなくていい。…なぁ、シオン。どの魔法が一番好きだった?」
シオン:「風魔法…自由に空が飛べて、好きだった」
リュカリス:「わかった。まずは風魔法をできるようにしよう」
シオン:「でも、風魔法は」
リュカリス:「お前さんが一番暴走した魔法だったかな」
シオン:「そうだ。知ってるんだろ」
リュカリス:「知っている。でもそれは、過去の話だ。私と一緒に使うぞ」
シオン:「…」
リュカリス:「少しずつ魔法を使っていこう。まずは、小さな風を起こす。次は物を浮かして、自分を浮かして…最終的に風をこの森全体に伝えられるように練習だ」
シオン:「…うん」
リュカリス:「シオン、想像するんだ。ちいさくて優しく頬を撫でるような風を」
シオン:「優しい風を…イメージして…」
─小さな風が起こる
リュカリス:「ほら。成功した。」
シオン:「でも、こんな初歩的な…」
リュカリス:「初歩的なものだって、魔法は魔法だ。魔法を使えたんだよ。さすがだよ、シオン」
シオン:「あ、ありがとう…」
リュカリス:「よし、次だ。この本を浮かせてみてくれ」
シオン:「…わかった。さっきより、少しだけ強い…でも、本を傷つけないように…」
─本がふわふわと浮いた
リュカリス:「シオンは、やはりのみ込みが早いな」
シオン:「できてる?」
リュカリス:「あぁ、そんな不安そうな顔をしなくてもできているよ。」
シオン:「よかった…」
リュカリス:「じゃあ、次はシオン。自分自身を浮かすんだ」
シオン:「…うん」
リュカリス:「大丈夫だ」
シオン:「自分を、浮かす…」
リュカリス:「その調子だ。…!?」
シオン:「っ!!」
─浮いた瞬間、シオンは暴走した時のことを思い出してしまった。そして、シオンの魔法が暴走して強い空気砲がリュカリス目掛けて放たれた。
シオン:「よけろ!!くそっ!やっぱり、俺はもう…」
リュカリス:「シオン!シオン!!」
シオン:「…リュカリス、さん……無事なんですか?」
リュカリス:「大丈夫だ。シオン、ゆっくり、雲に浮かぶように空を飛ぶイメージをするんだ」
シオン:リュカリスさんは、力が暴走している俺の近くを飛んで優しく声をかけてくれた。
リュカリス:「周りに結界も張ったからな、周りのことは気にせずに自分のことだけ考えなさい」
シオン:「あぁ、わかった!…雲に浮かぶようなイメージ。やわらかい、風…」
リュカリス:「そうだ。シオン、綺麗に飛べている。そのまま、ゆっくり、ゆっくり地上へ降りよう」
─地上に降り立つと、シオンは全身の力が抜けた
シオン:「…はぁっ、はぁっ……」
リュカリス:「お疲れ様。大丈夫か?」
シオン:「…っ、俺はろくに魔法も使えないんだ。だから、魔法なんてやっぱり」
リュカリス:「シオン、みてみろ。私に怪我はないし、暴走はすぐ収まってお前さんはちゃんと空を飛べた。違うか?」
シオン:「俺…一人で空飛ぶ魔法すら使えなかった」
リュカリス:「人は、失敗しながら成長して生きていくものだ。はじめから全てを完璧にやろうとしなくていいんだよ」
シオン:「はい」
リュカリス:「今、できたことを認めなさい。もっと自信を持っていいんだよ、シオン」
シオン:「…はい。俺、自信が持てるように、これから努力します。たくさん練習もします。」
リュカリス:「あぁ。でも、練習のしすぎはよくないからな」
シオン:「はい。だから、これからもみててください。俺のこと」
リュカリス:「もちろんだ。じゃあ、もう一度飛ぶ魔法を使おうか」
シオン:「森に風を伝える魔法は?」
リュカリス:「あぁ、それは最終目標であって、今の目標じゃない。まずは飛ぶ魔法をもっと練習しよう」
シオン:「はい!」
:
:
──数ヶ月後
シオン:それから俺は、リュカリスさんに見てもらいながら魔力のコントロールをしつつ、改めて魔法ついて一から学んでいった。
…そして、はじめてリュカリスさんの家に来てから半年が経ったころ、応用魔法も習うようになっていった。
リュカリス:「そうだ、その調子だ」
シオン:「…っ!駄目だ。」
リュカリス:「そうか?いい調子だったと思うぞ?」
シオン:「リュカリスさん、俺に甘くないか?駄目だろ!だって、この魔法はさ、コップに入ってる水の表面だけ凍らすのに中も凍ってんじゃんか!」
リュカリス:「でも、お前さんこの魔法は初めてだろ。なら、一回目ですべてを凍らせなかったのはすごいことだろう」
シオン:「っ!リュカリスさんは本当に甘い!」
リュカリス:「ははは。嫌か?」
シオン:「別に嫌じゃないけどさ」
リュカリス:「よしよし」
シオン:「だぁー頭なでんな!」
リュカリス:「ははは!流石だ、シオン!」
シオン:「やーめーろ!」
リュカリス:「さすが、私の弟子だ!」
シオン:俺は恥ずかしいから嫌がってたけど、本当は俺の頭を撫でるリュカリスさんの手は暖かくて大好きだった。本人には絶対に内緒だけど。
こうして俺はリュカリスさんと一緒にいろんな魔法に挑戦して、次第に魔力のコントロールができるようになっていった
─少しの間
シオン:リュカリスと過ごす日々は楽しくて、早いことに出会った日から数年経っていた。魔法を使うことへの恐怖も薄れていって、暴走もしなくなった。
リュカリス:「よし、シオン。お疲れ様。最近はコントロールの乱れがないな」
シオン:「だろ!自分でもわかるようになったんだ。コントロールすれば暴走もしないし、体内の魔力量が適量だと調子もいい」
リュカリス:「あぁ…そうだな。お前さんの魔力は綺麗で、心地よい」
シオン:「本当か!?」
リュカリス:「あぁ、本当にシオンはすごいな。」
シオン:「よし!」
リュカリス:「なんだ、どうしたんだ?」
シオン:「俺さ、リュカリスに褒めてもらえるのが嬉しいんだ」
リュカリス:「普段あんなに生意気いってるのにか?それに最近は呼び捨てだ。」
シオン:「そ、それは」
リュカリス:「ははは、冗談だよ。」
シオン:「リュカリスはすぐに俺を揶揄う」
リュカリス:「すまんすまん。喋り方も呼び方も、私への信頼だろう。…そう思うと、シオンは最近いろいろと変わったな」
シオン:「いろいろ?」
リュカリス:「あぁ、顔つきも雰囲気も変わった。」
シオン:「えっ!?本当かよ。それっていい方に?それとも悪い方に?」
リュカリス:「もちろん、良い方にだ。なんかあったのか?」
シオン:「…実は、夢ができた」
リュカリス:「ほう!それは良いことだ。どんな夢だ?」
シオン:「俺、将来はあんたを超えるすげぇ魔法研究者になるんだ」
リュカリス:「そんなに魔力も技術もあって、研究者か?」
シオン:「俺の中での最強の魔法使いは、あんただもん」
リュカリス:「ははっ、嬉しいことを言ってくれるな。」
シオン:「本気だからな、俺。だから、いつかリュカリスと一緒に何かを成し遂げてみたい」
リュカリス:「(呟くように)…そうだな。私もいつか、お前さんと…」
シオン:「ん?なんか言ったか?」
リュカリス:「いや、なんでもない。さ、家の中に入ろう」
シオン:「あぁ、もうこんなに暗いんだな。俺、魔法器具片付けるから先に中入っててよ」
リュカリス:「そうか。なら、お言葉に甘えるかな。」
─そういって、リュカリスは家の中に入ろうと足を一歩踏み出そうとした。しかし、リュカリスはそのまま足から身体が崩れ落ちた。
リュカリス:「うっ…」
シオン:「リュカリス、大丈夫か…よ。って、おい!リュカリス!リュカリス!!」
リュカリス:「…悪いな、一気に限界がきたらしい」
シオン:「は!?どういうことだよ!」
リュカリス:「すまんな…」
シオン:「っ、魔法でベッドに運ぶ!」
─シオンは風魔法を使って、できるだけリュカリスに負担をかけないように慎重にベッドへ運んだ。
─リュカリスの部屋
リュカリス:「っ…うぅ…」
シオン:「リュカリス、なんで…」
リュカリス:「すまん…。少し、休ませてくれ」
シオン:「…あぁ、わかった」
リュカリス:「っ…」
─シオン、リュカリスの寝室から出る
シオン:リュカリスはいつからあんな状態だったんだ…。一緒に居たのに気付かなかった。リュカリスに医療魔法も教えてもらってたけど、運んだ時に診た感じじゃ…
シオン:「くそっ…なんか方法は…」
─リュカリスの部屋に入って本を漁る。…そして、たまたま目に入った本を手に取った
シオン:「…なんだこの本。……は?“暴走した魔力を止める方法。それは、定期的な魔力の排出と、それを上回るコントロール魔法の注入…?この方法は魔力注入者の魔力を削るため、必然と衰えていく”…、まさか!」
─シオンは部屋を出て、リュカリスが寝ている部屋へ
シオン:「リュカリス!なんだよこれ!このコントロールの方法やってたのか!?あんた、俺のために魔力を削ってたのかよ!」
リュカリス:「…人の本を勝手に持ち出すな、馬鹿者」
シオン:「ごめん…じゃなくて」
リュカリス:「なんだ」
─シオン、魔力が暴走し始める。シオン、しばらくパニック状態
シオン:「なんで、ここまでするんだよリュカリス!あんたを失ってまで魔法を使いたくない!!俺が魔法を使わなければ…!」
リュカリス:「シオン…落ち着きなさい」
シオン:「これが落ち着いてられるか!!」
リュカリス:「シオン!」
シオン:「全部、俺のせいだ…」
リュカリス:「完全に暴走して、私の声が届かないのか…」
シオン:「俺のせいでまた…!俺がまた魔法を使いたいなんて思ったから、だからリュカリスが無理をして!」
リュカリス:「ちがう!」
シオン:「全部!全部俺が!!」
リュカリス:「…っ、シオン!!我を見失うな!…あっ」
シオン:「っ…!リュカリス!危ない!!」
─リュカリスがシオンの暴走を止めるために起き上がろうとしてベッドから落ちそうになった。シオンは咄嗟に魔法を使って、リュカリスをベッドへゆっくりと戻した
─シオン、正気に戻る
リュカリス:「助けてくれてありがとう…すまんな」
シオン:「いや…俺…。…リュカリスがベッドから落ちなくて良かった…」
リュカリス:「はは、自分で暴走を止められたな」
シオン:「でも、今のは無意識で」
リュカリス:「それでもいい。少しでもその感覚を覚えておきなさい」
シオン:「俺…」
リュカリス:「(ため息)…その方法をやってたのはほんの少しだけだ。」
シオン:「…じゃあ」
リュカリス:「悪いな、ただの衰えだ。」
シオン:「嘘、だろ…」
リュカリス:「本当だ。私はお前さんに嘘をついたことないだろう」
シオン:「…嫌だ。俺はリュカリスと一緒に…」
リュカリス:「…なぁ、シオン。頼みがあるんだ」
シオン:「…なんだよ」
リュカリス:「お前さんが私の部屋から持ち出した、その、本の最後にかいてある魔法を…私とやってくれないか?」
シオン:「本にある、最後の魔法…?」
リュカリス:「あぁ、そうだ」
シオン:「…これ」
リュカリス:「あぁ。私一人では、その魔法を使うことはできないのだ」
シオン:「リュカリス…俺で、いいの?」
リュカリス:「お前さんがいいんだ。お前さんと、この魔法をやり遂げたい」
シオン:「わかった」
リュカリス:「いつもの場所で…」
0:いつもの場所。それは、いつもシオンがリュカリスに魔法を教えてもらってる、家の外にある訓練場のこと
シオン:「あぁ、そしたら明日、リュカリスが起きたら訓練場に行って」
リュカリス:「(遮るように)今から、やろう。」
シオン:「…リュカリス」
リュカリス:「すまん。悪いが、お前さんの力で連れて行ってくれないか」
シオン:「…っ、わかった。」
0:少しの間
─シオンの魔法でリュカリスとシオンは訓練場に来た。
リュカリス:「やっぱり、ここが一番落ち着くな」
シオン:「あぁ、俺も」
リュカリス:「シオン、お前さんの力を、貸してくれ」
シオン:「当たり前だ。」
リュカリス:「…その魔法はな、シオンが力をコントロールできるようになったらやりたかったんだ」
シオン:「…俺、成長できてる?」
リュカリス:「あぁ…」
シオン:「俺さ…あの日、リュカリスに出会って、人生が変わっていったんだよ」
リュカリス:「あぁ…」
シオン:「リュカリス…手を差し伸べてくれて、いろんなことを教えてくれてありがとう」
リュカリス:「…それは、こちらのセリフだ。私の手をとってくれて、ありがとな。シオン」
シオン:「っ…」
リュカリス:「お前さんは、立派な魔法使いだよ」
シオン:「…」
リュカリス:「さぁ、そろそろやるぞ。もう、時間がない…」
シオン:「…っ、あぁ」
─リュカリスとシオン、魔力の波動を合わせる。
シオン:「…ねぇ、リュカリス。俺、リュカリスと一緒に魔法を使えることを嬉しく思うよ」
リュカリス:「私もだ。…シオン、私の愛しい子。」
シオン:「リュカリス…」
リュカリス:「想像するんだ。この森が、一面桜の木で染まっていくのを」
シオン:「あぁ…」
リュカリス:森の緑だった木々は、一面桜の木となっていった。そして、私とシオンの前には、青くて、透明な桜の木が現れた。
シオン:「ほら、綺麗だ。あんたの最期の魔法…」
リュカリス:「…」
シオン:「みえるか?すっげぇ、綺麗だ…」
リュカリス:「…」
シオン:「リュカ、リス…師匠…」
リュカリス:「……」
シオン:「リュカリス、今までありがとう、ございました…。」
リュカリス:私の愛しい子へ。
あの日、私は最期の魔法をシオンとできたこと幸せに思う。
実は国と魔法協会からの指示で君の所へいったけど、正直、面倒だったし、断るつもりだったんだ。しかし、君と出会って、力になりたいと思った。
シオンに出会えてよかった。君が成長してって立派な魔法使いになってくのを見守れて幸せだった。最愛の子とともに最期の魔法をできて、幸せだった。
魔法の研究しかしてこなかった私に、いろんな幸せを与えてくれてありがとう。これからも見守っているよ
シオン、愛してる。
シオン:親愛なる師匠へ。
俺は今、魔法が使えない人や中々魔力をコントロールできない人のために魔法について研究して、教えている。あとは、故郷であるリオンドの修復にも携わってるよ。少しずつだけど、いい街になってきてる。俺が壊したから、最後まで関わっていくよ。
あと、俺はリュカリスと一緒に暮らしていた家に今も住んでるんだ。最期の魔法で現れた、あの桜の木はまだ綺麗に咲いているよ。ずっと大事にするから。
俺さ、まだまだ、リュカリスのようにうまくいかないけど、がんばるから。だから、そっちで見守ってて。
貴方の最高の一番弟子より
:
:
:END
※そのままスクロールで『貴方との最期の魔法 -After Story-』に進みます
『貴方との最期の魔法 -After Story-』
シオン:シオン・アーベル。過去に魔力が暴走して村を一つ破壊してしまった。
シオン:今は魔法研究者として日々努力している。
ノエル:ノエル・ワグナー。魔法協会 特別魔法科所属。
ノエル:リュカリスの親友であり、シオンを檻へ入れる判断をした魔法使い。
──数年後
─あの日の桜の木を手入れしているシオン
シオン:「今日も綺麗だ…。
ねぇ、リュカリス。今日は、この間話したソフィアの魔力が安定してきたんだ。もう少しで魔力制御の道具外せると思う。もちろん、焦らないように、ゆっくりやっていくよ。リュカリスが俺にしてくれたみたいに…」
─足音が聞こえ、振り返るシオン
シオン:「…?」
ノエル:「やぁ、こんにちは。」
シオン:「え?あ、こんにちは…」
ノエル:「こうやって会うのははじめてだね、シオン・アーベル。私は魔法協会、特別魔法課所属のノエル・ワグナーだ」
シオン:「特別魔法課って…」
ノエル:「そうだ、君がかつて居た、あの場所の担当だ」
シオン:「…なんの御用ですか?」
ノエル:「…これを、渡しに来たんだ」
─ノエルが魔法で紋章を出す
シオン:「これ、は…」
ノエル:「渡すのが遅くなって申し訳ない。魔法協会より、貴殿らに魔法研究者“リュカ”の称号を贈呈する」
シオン:「魔法研究者、リュカ…」
ノエル:「知っていると思うが、我々魔法協会は優秀な魔法使いを増やすために様々な称号と共に権利を託している。
魔法研究者に対しては研究のフォローと、上級機密研究の閲覧権などだ。詳細は後日」
シオン:「なん、で…。そんな、称号なんて…」
ノエル:「魔力コントロールに関して、熱心に研究を重ね、魔力をコントロールできずに辛い思いをしてる人達に寄り添い、共に乗り越えた実績と…」
─ノエル、シオンと桜を見る
シオン:「…?」
ノエル:「…いや、なんでもない。とにかく、貴殿らに称号を与える。今後も研究に励んでくれ」
シオン:「ありがとう、ございます…」
ノエル:「もし、君が望むなら…」
シオン:「…」
ノエル:「魔法協会 魔法研究員のリュカリス・フォーデンスの研究を引き継ぐか?」
シオン:「リュカリスの研究…!?今まで見せてもらえなかったやつだ」
ノエル:「上級機密研究だったからな。今の君にはその権利がある」
─ノエルがシオンに研究資料を渡す
シオン:「…これ」
ノエル:「あいつはずっと魔力について研究していた」
シオン:「魔力についての研究…」
ノエル:「ただ、研究者として義務で研究していただけにすぎなかった。そんなあいつの研究テーマが変わったのは、あの日からだ」
─ノエルが、シオンにまた別の研究資料を渡す
シオン:「…これ」
ノエル:「天才であるが故に、ずっと指標ができなかったあいつがそのテーマで研究に打ち込む日が来るとはな」
シオン:「環境因子における魔力コントロールについて…」
─咳払いをしてから真剣な表情になるノエル
ノエル:「シオン・アーベル殿」
シオン:「…はい」
ノエル:「リュカリス・フォーデンス殿の研究を引き継いでいただくことは可能か?」
シオン:「勿論です、やらせてください」
ノエル:「では、貴殿に託した」
シオン:「はい…。ありがとうございます!」
ノエル:「…何かあればいつでも。では」
シオン:「あの…!」
ノエル:「ん?」
シオン:「ずっと聞きたかったことがあるんです」
ノエル:「なんだ?」
シオン:「どうして、あの日、俺から魔力を奪わなかったんですか?」
ノエル:「どういう事だ」
シオン:「あの日、魔力が暴走した俺を魔力制御具で拘束して、閉じ込めた。」
ノエル:「あぁ」
シオン:「また、魔力暴走する危険性もあったなら魔力を奪う方が良かったんじゃないですか?」
ノエル:「魔法使い見習いに対しての教育、支援を怠った魔法協会にも責任がある。だから、君の魔力を奪うよりも」
シオン:「(ノエルのセリフ遮るように)その鎖が…!…鎖が魔力制御の道具だって分かっていても、俺は人間じゃない。リオンドを壊した悪魔なんだって、言われている気分でした。」
ノエル:「…っ」
シオン:「魔力暴走して、“お前は悪魔だ”って言われたのがずっと、耳から離れなくて…。あぁ、俺はもうここから出るのをやめようって思った。みんなを傷つけないために」
ノエル:(君は悪魔なんかじゃない。傷つけないためにしたことが、君を、傷つけた)
シオン:「幸い、死人は出なかったけど暴走した魔力のせいで怪我させてしまったり、家を失った人や、俺が魔力を奪ってしまった人もいる。」
ノエル:(君の魔力暴走はわざとでは無い…。)
シオン:「俺はただ、あの日みんなを喜ばせたくて魔法を使っただけだったのに。なのに、なんでって…。周囲の目が怖かった…。魔力が暴走して次は誰かを殺すかもしれないって思ったら、外が…自分が怖くなった…。正直、生きてる意味が分からなかった」
ノエル:「…シオン。」
──数秒の沈黙
シオン:「…ノエルさん」
ノエル:「…なんだ」
シオン:「周囲から俺を守るためにあの檻に入れるしかなかったんでしょ?」
ノエル:「…」
シオン:「魔力が暴走してもすぐに防げるように、周りの声が俺の耳に入らないように、俺を守ってくれてたんでしょ」
ノエル:「君は私を買いかぶりすぎだ」
シオン:「“こうして会うのははじめてだね。”…最初にノエルさんはそういった。それに、リュカリスが話すのは魔法のことか、(小声で)俺のことか…ノエルさんのことだった。だから、はじめて会った気がしなかったよ。」
ノエル:「リュカが…」
シオン:「あー、師匠に怒られるから改めまして、俺はシオン・アーベルって言います。師匠から話は聞いてます。俺を救いたがった人がいるって。」
ノエル:「…」
シオン:「本当は俺のところに来るのは師匠じゃなくて、ノエルさんだったんですよね?ノエルさんが行けない代わりに行くように言われたから師匠は仕方なく来たって…。それで、俺に会って、力になろうと思ったって。」
ノエル:「……」
シオン:「ずっと、気にかけてくれてたんですよね、ノエルさん」
ノエル:「…。君はなにか勘違いをしているのかもしれない。私は、当時魔法使い見習いだった君を閉じ込めた張本人だよ。あの日、まだ幼かった君を、魔力が暴走して苦しんでた君を…あんな鎖であんな暗い檻に閉じ込めたんだ。閉じ込めておいて、君の元へは別の人間を送り込んだ。そんな、酷いやつだよ、私は…。君にとって私は憎むべき対象になりうる存在だ」
シオン:「俺に感情移入しすぎて、最高司令部に俺に会うのを禁止されてたんですよね。だから、会えないかわりに俺があの檻から出るのを、俺に関する全権限を師匠に譲渡できるように全力を尽くしてくれたのは大親友のノエルさんだって」
ノエル:「…私は、ただ、仕事で…」
シオン:「きっと面会禁止が解禁されたからすぐに会いに来てくれたんですよね」
ノエル:「なぜ、それを…」
シオン:「ずっと貴方に会いたかったんです。だから、魔法協会に無理言って色々教えてもらいました。」
ノエル:「私に…?」
シオン:「会えなくても俺や師匠の力になってくれて、ありがとうございました」
ノエル:「…私は、何も……」
シオン:「ノエルさんは精一杯のことを尽くしてくれたよ。」
ノエル:「シオン、私は君に何もしてやれなかった…。謝っても何にもならないだろう。辛い思いをさせて、すぐに救えなくてすまない。いくら恨んでも足りないだろう…」
シオン:「ねぇ、ノエルさん。俺、ノエルさんを恨んだことなんてないよ。だから、謝らないで」
ノエル:「…シオン」
シオン:「師匠に…リュカリス・フォーデンスに出会わせてくれてありがとう。師匠と俺から…リュカリス・フォーデンスの大親友である貴方へ」
─とある魔法を使う
シオン:「ノエルさんが、俺とリュカリスに“リュカ”をくれたように、俺達もたくさんの人に希望の光を与えられるように頑張るから」
:
:
─協会への帰り道
ノエル:親愛なる大親友へ
リュカ、君たちが成功させた桜の木の下で、シオンと会えたよ。やっとだ…。やっと会えた。
あの日、シオンへの面会禁止令を出された私は絶望していたが、代わりにリュカが行ってくれて本当に良かった。きっと、リュカだからシオンを救えたんだ。私じゃシオンを救えなかったよ。
「なぁ、リュカ…。私のワガママでシオンに会いに行ったらお礼を言われたよ。
あと、魔法を見せてもらった。さすが、リュカの弟子だな。すごく、綺麗だった…シオンはとてもいい魔法使いだよ」
【リュカリスのセリフ言っても言わなくても】
リュカリス:「当たり前だ」
ノエル:「リュ、カ…?…ふっ、ははっ!なぁ、リュカ!未来は明るいぞ」
ーあとがき的な何かー
ここまで読んでいただきありがとうございます。
この作品は、某配信アプリのシナリオコンテストで性別不問ということで書いた作品です。
初めてのサシ劇の長いやつで、見てもらえるか、やってもらえるか不安だったのを覚えています。今までのシナリオは自己満足で出してて、そんなこと考えたことなかったのに、この作品だけはなぜかそんなことを考えてしまうくらい、いろんな方にやってもらいたいと思うシナリオになりました。
少しでも目を通したり、やっていただけて本当に嬉しいです。その中でも、何度も何度もこの作品を、もしかしたら作者の私よりも好きでいてくれた方たちがいます。こんなに嬉しいことはありません。その方達が、某アプリのサ終前にまた、配信してくれるということで、ずっと書き途中だったAfter Storyも完成させることができました。
見づらいところ、やりづらいところはあるかもしれませんが、ファンタジーの世界を楽しんでいただけたら幸いです。
長くなりましたが、何がいいたいかっていうとありがとうございます!!ってこと!!また、この子達の話とか、他のファンタジー作品かけたらいいなーって思ってます!その時はやってくれると嬉しいです!!ではー!!!
Comentarios